- ストロングの定義: アルコール度数7〜9%程度の高アルコール缶チューハイを指す通称で、法律上の統一定義はない。 - 販売状況: 2026年もサントリーの-196ストロングゼロやキリンの9%商品は販売ラインアップに残っており、大手各社が一斉に撤退したわけではない。 - 健康リスク: 9%の350ml缶1本には純アルコール25.2gが含まれる。飲みやすさと実際のアルコール摂取量のギャップに注意が必要。
【基本知識】ストロングとは?アルコール度数7〜9%が目安の高アルコール飲料

ストロングとは、アルコール度数が高い缶チューハイを指す俗称です。特に7〜9%の商品が代表的で、報道や業界関係者の説明では8%以上をストロング系として分類するケースも多く見られます。
ただし、7%の商品を含めるか、8%以上に限定するかは情報源によって異なります。
ストロング系チューハイと普通のチューハイの違い一般的な缶チューハイとストロング系の違いは、主にアルコール度数と1本当たりの純アルコール量です。
- 普通のチューハイ:3〜5%程度の商品が中心
- ミドルアルコール:4〜6%程度
- ストロング系:7〜9%程度が代表的
- 高アルコール商品:10%以上の商品も過去には存在
同じ350ml缶でも、度数が違えば摂取するアルコール量は大きく変わります。
例えば、アルコール度数5%のチューハイと9%のストロング系では、純アルコール量に約1.8倍の差があります。
つまり、ストロング系の特徴は単に味が濃いことではなく、少ない飲料容量でも多くのアルコールを摂取することになる点です。
ストロングゼロとは?代表的なブランドの特徴アルコール度数9%の代表的なストロング系チューハイ。ダブルレモン、ダブルグレープフルーツ、無糖ドライなどのラインアップがある。果実感と飲みごたえを特徴とする。
メーカー公式の商品情報に掲載されている定番商品
ストロングゼロは、2009年にサントリーが発売した高アルコール缶チューハイです。先行するキリンの氷結ストロングなどとともに、ストロング系市場の拡大を後押ししました。
商品名の「ゼロ」はアルコールがゼロという意味ではありません。実際のアルコール度数は9%です。
また、2025年にはブランドロゴが世界共通の「-196」に刷新されました。従来の「-196℃ ストロングゼロ」がなくなったように見えることがありますが、サントリーは「-196 ストロングゼロ」として継続販売すると案内しています。
【製造の仕組み】ストロング系はなぜアルコール度数が高くても飲みやすいのか?
ストロング系チューハイの特徴を理解するには、原材料と製造方法を知る必要があります。
ストロング系チューハイの基本的な仕組みチューハイは、焼酎やウォッカなどのスピリッツをベースに、果汁や果実エキス、香料などを組み合わせ、炭酸などで仕上げる飲料です。
サントリーのお客様センターも、チューハイの基本的な構成をスピリッツと果汁などを組み合わせた飲み物として説明しています。
ストロング系では、こうしたベースとなる酒類のアルコール濃度を調整し、最終的な飲料の度数を高めます。
主な特徴は次のとおりです。
- アルコール原料: ウォッカなどのスピリッツを使用する。
- 果実成分: レモンやグレープフルーツなどの果汁・エキスを加える。
- 味の調整: 酸味、香料、甘味料などによって飲みやすさを整える。
- 炭酸: 爽快感と飲み口を作り出す。
注意したいのは、果実の風味が強くてもアルコール量が少ないとは限らないことです。
飲みやすさとアルコールの強さは別の問題です。
196℃ストロングゼロの「-196℃」とは?
サントリーの「-196℃製法」は、商品名の由来にもなった独自の果実加工技術です。
液体窒素を利用して果実を瞬間凍結し、粉砕してパウダー状にした後、アルコールに浸漬します。
サントリーの研究開発資料によると、果汁だけでなく果皮に含まれる香りの成分も取り出せることが、この製法の特徴です。
なお、-196℃は液体窒素の沸点に由来する数字であり、飲料そのものの温度やアルコール度数を示すものではありません。
同社の製法は2011年12月に特許登録されています。
ストロング系が人気になった理由ストロング系が広く普及した背景には、複数の消費者ニーズがありました。
1. 価格に対するアルコール量の多さ
ビールなどと比べて手頃な価格帯で購入でき、1本で多くのアルコールを摂取できることが支持されました。
2. 短時間で満足感を得られる
アルコール度数が高いため、比較的少ない飲料容量でもアルコール摂取量が多くなります。
3. 果実風味による飲みやすさ
レモンやグレープフルーツなどの味わいによって、アルコール特有の刺激を感じにくい商品もあります。
4. 家飲みとの相性
缶を開けるだけで飲めるRTDの利便性も普及を後押ししました。特にコロナ禍の家飲み需要は、缶チューハイ市場を考えるうえで重要な背景です。
一方、飲みやすさが実際のアルコール摂取量を過小評価させる可能性もあります。ストロング系の魅力と健康上の懸念は、同じ商品特性から生まれているのです。
【2026年最新比較】ストロング系チューハイは販売終了した?大手4社の方針
「ストロング系チューハイは販売終了した」という情報を見かけますが、これは正確ではありません。
2024年に大手メーカーが8%以上の新商品を発売しない方針を示したことで、ストロング系からの撤退が話題になりました。
しかし、新商品の開発を控えることと、既存商品の販売を終了することは別です。
2026年11月2日時点で確認できる各社の動きを整理します。
サントリー・アサヒ・キリン・サッポロの販売方針比較各社の公式商品情報や発表資料、2024年の報道を照合すると、高アルコール市場からの撤退方針はメーカーごとに異なることがわかります。
アサヒとサッポロが8%以上の新商品を控えた理由2024年2月、アサヒとサッポロが8%以上のストロング系新商品の発売を控える方針を示しました。
アサヒグループジャパンは、Business Insider Japanの取材に対して、新商品の発売を行わない一方、既存商品は販売を継続すると説明しています。
サッポロも健康志向の高まりや市場の変化を踏まえ、RTD商品の構成を総合的に検討した結果だと説明しました。
背景には、ストロング系市場の成長鈍化があります。
J-CASTニュースが紹介したインテージの市場データでは、ハイボールを含む缶チューハイ市場に占める8〜9%商品の販売金額構成比は、2023年に約26%でした。
また、アサヒの8%以上の商品数は、2020年の79種類から2023年には2種類に減少したと報じられています。
つまり、メーカー各社は健康面への配慮だけでなく、消費者の嗜好変化や商品ポートフォリオの見直しという経営上の判断も進めていたのです。
2026年もストロング系は買える?答えは、商品によっては購入できます。
特にサントリーのストロングゼロとキリンの9%商品は、メーカーの公式商品情報で確認できます。
ただし、季節限定品や個別フレーバーは製造終了になることがあります。ブランドが存続していても、すべての味が常時販売されているわけではありません。
また、店頭在庫とメーカーの定番ラインアップは必ずしも一致しません。購入時には缶のアルコール度数表示と純アルコール量を確認する必要があります。
【健康リスク】ストロング系の危険性は?純アルコール量と依存症を解説
ストロング系を理解するうえで、最も注意したいのが純アルコール量です。
アルコール度数が高い商品は、飲料の容量だけで飲酒量を判断すると、実際の摂取量を見誤る可能性があります。
7%・9%の純アルコール量を比較厚生労働省が示す計算式は次のとおりです。
純アルコール量(g)=飲酒量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8
この計算式に基づくと、350ml缶と500ml缶の純アルコール量は次のようになります。
- 350ml・5%:14g
- 350ml・7%:19.6g
- 350ml・9%:25.2g
- 500ml・5%:20g
- 500ml・7%:28g
- 500ml・9%:36g
サントリーのストロングゼロやキリンの9%商品も、350mlで25.2g、500mlで36gという計算になります。メーカーが公表する商品情報でも同じ数値が確認できます。
厚生労働省の飲酒ガイドラインが示す注意点厚生労働省は2024年2月19日、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。
このガイドラインでは、単純な飲酒量ではなく、純アルコール量を把握することが推奨されています。
生活習慣病のリスクを高める飲酒量の目安として、従来の健康政策では次の数値が用いられています。
- 男性:1日平均40g以上
- 女性:1日平均20g以上
ここで注意したいのは、これらが安全に飲める上限を示す数字ではないことです。疾病の種類、年齢、性別、体質などによって健康への影響は異なります。飲酒量は少ないほどリスクを抑えやすく、飲まないことによるリスク低減も考慮する必要があります。
9%の350ml缶1本は25.2gです。女性の20gというリスクを高める量の目安を超え、男性の40gにも近づきます。
500ml缶なら36gです。
缶の大きさがわずかに違うだけでも、摂取するアルコール量は大きく変わります。
ストロング系で懸念される健康被害アルコールの過剰摂取や習慣的な飲酒には、次のようなリスクがあります。
肝臓への負担
長期的な飲酒は脂肪肝や肝炎、肝硬変などにつながる可能性があります。
膵臓への影響
過度な飲酒は膵炎などの健康問題と関係します。
脳・神経への影響
判断力や注意力の低下、記憶への影響などが起こり得ます。
事故やけがの危険性
飲酒による運動能力や判断力の低下は、転倒や交通事故などにつながります。
アルコール依存症
習慣的な飲酒によって耐性や精神的依存、身体的依存が形成され、飲酒をコントロールできなくなる可能性があります。
2026年発表の研究で明らかになったストロング系の懸念2026年4月に学術誌『Drug and Alcohol Dependence』に掲載された日本の研究では、ストロング系チューハイの飲用開始と、その後の有害な飲酒行動との関連が調査されました。
研究では、2022年から2024年にかけて調査対象者の飲酒状況を追跡しています。
主な結果は次のとおりです。
- 2023年にストロング系チューハイの飲用を始めた人:約533人
- 2024年に有害な飲酒が確認された割合:飲用開始者7.7%
- 飲用を開始しなかった人の同割合:3.1%
- 多変量調整後のオッズ比:1.90
研究チームは、ストロング系チューハイの飲用開始が、その後の危険・有害な飲酒との関連を示したと報告しています。
ただし、この研究は観察研究です。ストロング系チューハイを飲み始めたことだけが有害な飲酒の原因だと証明したものではありません。
それでも、商品選択と飲酒習慣の変化を長期的に追った2026年の研究として、注目すべき結果です。
アルコール依存症の初期サインとは?次のような変化が続く場合は、飲酒習慣を見直す必要があります。
- 飲まないと落ち着かない。
- 飲酒量を減らそうとしても減らせない。
- 飲む予定がない日にも飲んでしまう。
- 同じ酔い方をするために量が増える。
- 飲まないと不眠、発汗、手の震えなどが出る。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、耐性の形成、精神的依存、身体的依存という過程を解説しています。
アルコール依存症は、単に酔って騒ぐ人だけに起こるものではありません。仕事や家庭生活を維持しているように見えても、飲酒を自分でコントロールできなくなっている場合があります。
飲酒を減らせない場合や離脱症状が疑われる場合は、保健所や依存症専門医療機関に相談することが大切です。身体依存が疑われる人は、自己判断で急に断酒せず、医療機関に相談してください。
【市場の変化】2026年のRTD市場とストロング系の今後
ストロング系の販売方針を理解するには、RTD市場全体の動向も欠かせません。
RTDとは「Ready to Drink」の略で、購入後すぐに飲める缶チューハイや缶カクテルなどを指します。
2026年の市場では、高アルコール商品だけでなく、無糖、低アルコール、果実感、食事との相性など、商品の差別化が進んでいます。
2025年のRTD市場は3年連続で伸長日刊経済通信社が2026年1月に公表した推定データによると、2025年の主要5社のRTD販売実績は前年比100.9%でした。
これは3年連続の市場伸長に当たります。
特に目立ったのが無糖商品の好調です。
サントリーの「-196 無糖」、キリンの「氷結無糖」、サッポロの「濃いめ」などが各社の主力商品として紹介されています。
また、上位20銘柄の度数別構成比では、2025年に7度以上の高アルコール商品が33%、4〜6度のミドルアルコール商品が31%でした。
前年はそれぞれ35%、27%であり、ミドルアルコールの存在感が増していました。
2026年9月の販売動向はどうだった?2026年10月6日付の日刊経済通信社の報道では、主要6社の9月RTD販売実績は前年比106.8%でした。
ただし、これは単純な需要増だけではありません。
2026年10月1日の酒税改正を控え、増税前の駆け込み需要が発生したことも背景にあります。
同報道では、9月の上位20銘柄における度数別構成比で、7度以上の商品が43%を占めました。前年同期の44%からはわずかに低下しています。
この数字からも、高アルコール商品が市場から消滅したわけではないことがわかります。
2026年10月の酒税改正も市場を左右する財務省の資料によると、2026年10月からチューハイなどのその他の発泡性酒類に適用される酒税は、1キロリットル当たり10万円となりました。
350ml換算では35円です。
サントリーも2026年6月、10月1日の酒税改正に伴うRTDなどの価格改定を発表しています。
この改正は、今後の商品価格や販売戦略に影響を与える可能性があります。
メーカー各社にとっては、単にアルコール度数を競うだけでなく、原材料、製造コスト、価格、味わい、健康への配慮を総合的に考える必要があるためです。
今後は高アルコールから低アルコールへ完全に移行する?現時点では、完全に移行するとは考えにくい状況です。
2026年9月のキリンの発表では、氷結無糖シリーズに4%・7%・9%の商品がそろっています。
つまり、低アルコールと高アルコールを同一ブランド内で選べる商品設計も存在します。
今後のRTD市場では、次のような方向性が考えられます。
- 低アルコール化: 飲酒量を調整したい人向けに3〜5%の商品を充実させる。
- 無糖商品の拡大: 甘さを控え、食事に合わせやすい味わいを提案する。
- 高アルコール商品の選別: 定番ブランドを残しつつ、新商品開発を慎重に進める。
- ノンアルコール市場の拡大: 飲まない選択肢を含め、飲用シーンを広げる。
ストロング系の今後を考える際には、単純な販売終了・継続という二択ではなく、市場全体の商品構成がどう変化するかを見ることが重要です。
【よくある質問】ストロングとは何かに関するFAQ
Q1:ストロングとは何%のお酒ですか?
ストロングとは、一般にアルコール度数7〜9%程度の高アルコール缶チューハイを指します。報道などでは8%以上を基準とすることもありますが、統一された法律上の定義はありません。
Q2:ストロングゼロは販売終了したのですか?
いいえ。サントリーは「-196℃ ストロングゼロ」から「-196 ストロングゼロ」へブランド表記を変更し、継続販売すると案内しています。ただし、個別のフレーバーは製造終了になる場合があります。
Q3:9%のストロング系350ml缶にはアルコールが何グラム含まれていますか?
純アルコール量は25.2gです。計算式は「350ml×0.09×0.8」です。500ml缶なら36gになります。
Q4:ストロング系チューハイは普通のチューハイより危険ですか?
同じ容量なら、アルコール度数が高いほど純アルコール摂取量は増えます。特に果実風味などで飲みやすい商品は、実際の摂取量を意識しにくいことがあります。飲酒による健康リスクには個人差があるため、度数だけでなく純アルコール量を確認することが大切です。
Q5:2026年現在、9%のチューハイはまだ販売されていますか?
はい。サントリーの-196ストロングゼロや、キリンの氷結無糖レモンALC.9%などがメーカーの公式情報で確認できます。アサヒやサッポロの8%以上の新商品を控える方針と、業界全体の9%商品の販売終了は同じ意味ではありません。
ストロングとは、アルコール度数7〜9%程度の高アルコール缶チューハイを指す一般的な呼び方です。
代表的な商品であるサントリーのストロングゼロは、ブランド表記を「-196」に刷新した後も販売が継続されています。また、キリンも2026年に9%商品を含むラインアップを展開しています。
一方、アサヒやサッポロは8%以上の新商品を控える方針を示しており、メーカーごとに戦略が分かれています。
市場全体を見ると、2025年は無糖商品やミドルアルコール商品が伸長し、2026年もRTD市場の多様化が続いています。
【プロの結論】ストロング系を見極める3つの判断基準1. アルコール度数だけでなく純アルコール量を見る
9%の350ml缶は25.2g、500ml缶は36gです。容量が同じでも、5%の商品とは摂取量が大きく異なります。
2. 「無糖」「糖類ゼロ」と健康リスクを混同しない
糖類が少なくてもアルコールは含まれます。糖質やカロリーの表示と、アルコールによる健康リスクは分けて考える必要があります。
3. 販売終了のニュースはメーカーごとの方針を確認する
新商品開発の中止、既存商品の終売、ブランド名の変更は、それぞれ異なる出来事です。ストロング系全体が消滅したという理解は正確ではありません。
ストロング系の本質は、少ない飲料容量に比較的多くのアルコールが含まれていることです。
2026年以降のRTD市場では、飲みごたえだけでなく、純アルコール量の透明性や健康への配慮も商品選択の重要な基準になっていくと考えられます。
飲酒する場合は、飲む量や頻度を見直し、自分の健康状態に合わせて判断することが大切です。