去就は、人物の将来に関する判断がまだ確定していないときに使われることが多い言葉です。
特にニュースでは、政治家や企業経営者、スポーツ監督、プロ選手など、組織や社会に一定の影響力を持つ人物について使われます。
ここでは、よく見かける4つの表現を解説します。
1. 「去就が注目される」の意味「去就が注目される」とは、その人物が現在の立場に残るのか、離れるのか、多くの人が関心を寄せている状態を意味します。
例えば、次のように使います。
- チームの成績不振を受け、監督の去就が注目されている。
- 任期満了を前に、社長の去就に関心が集まっている。
- 契約更新の時期を迎え、主力選手の去就が注目されている。
- 選挙結果を受け、党代表の去就が焦点となっている。
ここで重要なのは、去就が注目されているからといって、辞任や退任が決まったわけではないという点です。
続投する可能性もあれば、辞任や退任、移籍、引退などを選ぶ可能性もあります。
ニュースの見出しで「去就が注目」と書かれていた場合は、まだ決定していない今後の選択が焦点になっていると理解しましょう。
2. 「去就を明らかにする」の意味「去就を明らかにする」は、今後の自分の立場や進む方向について、はっきりと意思表示することです。
例えば、次のような使い方があります。
- 社長は記者会見で、自身の去就を明らかにした。
- 選手はシーズン終了後に今後の去就を明らかにする予定だ。
- 代表監督は契約満了を前に、自らの去就について説明した。
この表現は、単に今後の予定を話すことではありません。
現在の職務を続けるのか、辞めるのか、別の道に進むのかといった判断を公にするという意味合いがあります。
なお、「去就を決する」は、自分の今後の立場について最終的な判断を下すことです。
3. 「去就を問われる」とは?「去就を問われる」とは、ある人物に対して、現在の立場にとどまるのか、それとも辞めるのかという判断を求めることです。
特に、責任問題や組織内のトラブルが発生したときに使われます。
例文を見てみましょう。
- 不祥事の責任を受け、社長は去就を問われる立場となった。
- 選挙で大敗した党代表の去就を問う声が上がっている。
- チームの成績低迷が続き、監督の去就が厳しく問われている。
「去就を問われる」は、本人が自発的に今後を考える場合だけでなく、周囲や組織、世論などから判断を迫られる場合にも使います。
ただし、必ず辞任を求められているとは限りません。続投するかどうかも含めて、立場を明確にするよう求められている状態です。
4. 「去就に迷う」「去就を決める」の例文そのほか、以下の表現も覚えておくと便利です。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 去就に迷う | 今の立場を離れるか残るか決められず悩む |
| 去就を決める | 今後の立場について判断する |
| 去就を決する | 最終的な身の処し方を決定する |
| 去就を明らかにする | 今後の立場について意思を公表する |
| 去就が定まらない | 今後の方向性がまだ決まっていない |
| 去就を左右する | 今後の立場や進退に大きな影響を与える |
文章で使用する際には、主語を明確にすることも大切です。
「監督の去就」「社長の去就」「選手の去就」のように、誰の今後について述べているのかを示すと、読み手に伝わりやすくなります。
【類語・言い換え】去就と似た意味の日本語を比較

去就を別の言葉に置き換えたい場合、文章の目的や伝えたいニュアンスによって適切な表現が異なります。
特に、ビジネスメールや報告書では、難しい熟語を使わずに平易な日本語に言い換えたほうが伝わりやすいこともあります。
去就の主な類語5選1. 進退(しんたい)
去就と最も近い意味を持つ言葉です。
職務を続けるのか、辞めるのかという判断を表します。
例:「社長の進退について、取締役会で協議が行われた」
2. 出処進退(しゅっしょしんたい)
官職に就くことと、そこから退くことを意味する四字熟語です。
転じて、現在の地位にとどまるか辞めるかという身の振り方を表します。
例:「経営責任者として、自らの出処進退を明確にする必要がある」
去就や進退と比較して、やや格式が高く、責任ある立場の人物について使われることが多い表現です。
3. 身の振り方(みのふりかた)
将来の生活や仕事について、自分がどのような道を選ぶのかという意味です。
例:「定年退職を前に、今後の身の振り方を考えている」
去就よりも対象範囲が広く、仕事だけでなく生活設計にも使えます。
4. 身の処し方(みのしょしかた)
自分が置かれた状況に対して、どのような態度や行動を取るのかを表します。
例:「問題が発生した際の身の処し方が問われている」
去就が現在の立場を続けるか離れるかに重点を置くのに対し、身の処し方は具体的な対応や態度にも焦点を当てます。
5. 進路(しんろ)
これから進んでいく道や方向性を意味します。
例:「卒業後の進路について家族と相談している」
進路は学生の進学や就職、転職など幅広い場面で使われます。現在の地位を辞めるかどうかという意味は必ずしも含みません。
去就の言い換え一覧と使い分け| 言い換え表現 | 適した場面 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 今後の進退 | 職務や役職 | 続投か辞任か |
| 今後の身の振り方 | 仕事・生活 | 将来の方針 |
| 身の処し方 | 責任問題 | 状況への対応 |
| 今後の方針 | ビジネス全般 | これからの計画 |
| 今後の方向性 | 一般的な会話・文書 | 進むべき道 |
| 出処進退 | 政治・経営・公的な立場 | 地位に残るか退くか |
ここは誤解しやすいポイントです。
辞任、退任、留任、続投は、去就と関係の深い言葉ですが、厳密には同じ意味ではありません。
- 辞任: 自らの意思で役職を辞めること。
- 退任: 任務や役職を退くこと。
- 留任: 現在の役職に引き続きとどまること。
- 続投: 現在の役割や任務を継続すること。
去就は、これらの選択肢を含む今後の身の処し方を指します。
例えば「社長の去就が注目される」という表現には、辞任する可能性も留任する可能性も含まれています。
そのため、まだ決定していない段階で「社長の辞任が注目される」と書くと、辞任する方向に話が進んでいるような印象を与えることがあります。
文章の正確性を重視するなら、決定前は「去就」、決定後は具体的な結果を表す「辞任」「退任」「留任」などを使うとよいでしょう。
【英語表現】去就は英語で何と言う?
去就には、文脈によっていくつかの英語表現があります。
小学館の『プログレッシブ和英中辞典』では、主に次の表現が紹介されています。
- one's course of action
- one's attitude
特に、今後の身の振り方を表す場合は、one's course of action が適しています。
よく使われる英語表現と例文1. one's course of action
今後の行動方針や進むべき方向を表します。
例文:
He has not decided on his course of action yet.
意味:彼はまだ今後の身の振り方を決めていない。
2. whether to stay or leave
「残るか、去るか」という去就の意味を直接的に表現できます。
例文:
Everyone is watching whether he will stay or leave.
意味:彼が残るのか去るのか、誰もが注目している。
3. decide on one's course of action
今後の方針や身の振り方を決めるという意味です。
例文:
She needs to decide on her course of action.
意味:彼女は今後どうするかを決める必要がある。
4. one's future
人物の今後や将来を広く表現する場合に使います。
例文:
His future at the company remains uncertain.
意味:彼がその会社に残るかどうかは、まだ不透明だ。
英語に訳すときの注意点去就を常に同じ英単語で表すことはできません。
役職を辞めるかどうかが焦点なら「whether to stay or leave」、行動方針なら「one's course of action」、将来全般なら「one's future」が自然です。
なお、「辞任」は resignation、「退任」は stepping down、「留任」は remaining in office など、具体的な結果が決まっている場合には、より直接的な表現を選ぶと伝わりやすくなります。
【プロの結論】去就という言葉を正しく理解する3つの判断基準
去就という言葉を正確に理解するには、単純な辞書の意味だけでなく、使われている状況にも注目する必要があります。
特に、ニュースを読むときには次の3点を意識すると、見出しの意味を誤解しにくくなります。
判断基準1:まだ決まっていない選択なのか「去就が注目される」という表現は、今後の立場について結論が出ていない場合によく使われます。
辞任や退任が正式に発表されたのであれば、「退任が決定した」「辞任を発表した」と書くほうが正確です。
去就という表現を見かけたら、まず決定事項なのか、今後の判断が注目されている段階なのかを確認しましょう。
判断基準2:誰が判断を求められているのか「去就を問われる」という表現では、本人と周囲の関係が重要です。
本人が自ら判断する場合もあれば、株主、取締役会、所属団体、支持者などから判断を求められる場合もあります。
同じ「去就を問われる」という表現でも、自発的な決断なのか、責任を問われた結果なのかによって、ニュースの背景は異なります。
判断基準3:去就と決定後の結果を混同しない去就は、今後の選択や身の処し方を指す言葉です。
辞任、退任、留任、続投などは、その選択によって決まる具体的な結果です。
この違いを押さえておけば、報道の見出しから必要以上に結論を先読みすることもなくなります。
去就という言葉の本質は、ある人物が今の立場をどうするのか、その選択と判断にあると理解しておくと、政治・経済・スポーツなど、さまざまなニュースを正しく読み解けます。
【去就とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:去就とは簡単に言うと何ですか?
去就とは、現在の立場や役職にとどまるのか、それとも離れるのかという今後の身の振り方を意味します。政治家や経営者、スポーツ選手などの今後の判断について使われる言葉です。
Q2:去就は「きょしゅう」と「こしゅう」のどちらが正しいですか?
正しい読み方は「きょしゅう」です。「こしゅう」は一般的な辞書に掲載されている読み方ではありません。
Q3:去就と進退は同じ意味ですか?
非常に近い意味を持つ言葉です。どちらも職や地位にとどまるか辞めるかという意味で使われます。ただし、進退には前進・後退や立ち居振る舞いなど、より広い意味もあります。
Q4:「去就が注目される」とは辞任するという意味ですか?
いいえ。辞任が決まったという意味ではありません。現在の立場を続けるのか、辞めるのか、あるいは別の道に進むのか、その判断に関心が集まっている状態です。
Q5:「去就を明らかにする」と「去就を問われる」の違いは何ですか?
「去就を明らかにする」は、自分の今後の立場について意思を公表することです。「去就を問われる」は、本人が周囲などから今後の立場について判断を求められることを意味します。
Q6:去就の類語や言い換えには何がありますか?
代表的なものに「進退」「出処進退」「身の振り方」「身の処し方」「今後の方針」などがあります。文章の格式や伝えたい内容に合わせて使い分けます。
Q7:去就を英語で表現すると何ですか?
「one's course of action」が代表的です。「残るか去るか」という意味を明確にしたい場合は「whether to stay or leave」も使えます。
去就は「きょしゅう」と読み、現在の立場や役職から離れるのか、それともそこにとどまるのかという今後の身の処し方を表す言葉です。
特に、政治、企業経営、スポーツなど、人物の立場や将来の選択が注目される場面で使われます。
最後に、覚えておきたいポイントを整理します。
- 読み方: きょしゅう
- 基本的な意味: 去ることと就くこと。今後の身の処し方や進退。
- 進退との違い: 意味は近いが、進退には行動や立ち居振る舞いという意味もある。
- 代表的な使い方: 去就が注目される、去就を明らかにする、去就を問われる。
- 主な類語: 進退、出処進退、身の振り方、身の処し方。
- 英語表現: one's course of action、whether to stay or leave。
特に大切なのは、去就が注目されている段階と、辞任や退任などの結果が確定した段階を区別することです。
「去就」という言葉を見かけたら、単に辞めるかどうかだけでなく、本人がどのような立場を選ぼうとしているのかに注目してみてください。言葉の意味を正しく理解することで、ニュースの背景や人物の置かれた状況まで、より深く読み取れるようになります。