「左様とは、どのような意味なのか」「左様ですと左様でございますは、どちらが正しい敬語なのか」と疑問に思ったことはありませんか。左様は「さよう」と読み、「そのよう」「その通り」「そうです」といった意味を持つ日本語です。改まった会話や接客、ビジネスシーンなどで使われる一方、日常会話では少し古風で堅い印象を与えることもあります。
実は「左様」の「左」は、文字どおりの左右を意味するものではありません。「然様」という表記もあり、「さようなら」という別れの挨拶とも語源的につながっています。2026年現在も使われるこの言葉について、読み方や漢字の成り立ち、「そうです」「その通り」との違い、正しい敬語表現、具体的な例文まで整理します。
【基本知識】左様とは?読み方・意味・使われる場面を解説

左様の読み方は「さよう」です。歴史的仮名遣いでは「さやう」と表記されます。
「左」を「ひだり」、「様」を「よう」と読む熟語ではなく、言葉全体で「そのよう」「その通り」という意味を表します。
小学館の『デジタル大辞泉』では、左様(然様)について、形容動詞として「そのよう」「そのとおり」、感動詞として相手の発言を肯定するときや、何かを思い出して話し始めるときに使う言葉と説明しています。
つまり、左様には大きく分けて次の2つの使い方があります。
- 状態や事情を示す:そのような、その通りの。
- 相手の話に応じる:そうです、確かにそうです。
左様は、前後の会話によってニュアンスが変わります。
例えば、相手から「こちらの商品が最新モデルですね」と尋ねられたときに「はい、左様でございます」と返答すれば、相手の認識を肯定する意味になります。
一方、「左様な事情がございましたら、日程を変更いたします」という場合は、「そのような事情」という意味です。
また、「左様、思い出しました」という場合は、「そうそう、思い出しました」という相づちに近い使い方になります。
このように、単純な肯定だけでなく、前に出た話題を受けたり、話の流れを整理したりする役割も持っています。
【語源と漢字の由来】左様と然様は何が違う?「左」の意味も検証
左様の成り立ちは「さ」+「様」左様の語源を理解するには、「さよう」という言葉の成り立ちを知る必要があります。
小学館の『精選版 日本国語大辞典』では、「然様」の語誌について、「よう」は「様」であり、様子・状態・方法・事情などを表す言葉として使われてきたと説明しています。「さ」という要素が前に付くことで、「さよう」「いかよう」「かよう」などの表現が生まれたと考えられています。
現代語に置き換えると、「さ」は「そう」、「様」は「様子・ありさま」に近い意味です。
そのため、「さよう」は「そういう様子」「そのように」という意味になります。そこから、相手の発言に同意する「その通り」という使い方も生まれました。
「左様」と「然様」は同じ読み方・意味左様には、もう一つの漢字表記として「然様」があります。
漢字ペディアでは「然様」を見出しとして掲載し、「左様」とも書くと説明しています。どちらも読み方は「さよう」で、意味も基本的に同じです。
ただし、漢字の意味に注目すると違いが見えてきます。
- 然:そのようであること、そうであることを表す。
- 様:物事の様子、状態、ありさまを表す。
- 左:本来は左右の左を表す漢字だが、この熟語では方向を意味するものではない。
つまり、「然様」は意味のつながりを理解しやすい表記であり、「左様」は同じ言葉を表す別の漢字表記です。
「左の様子」という意味だと考えたり、右より左が上位だから敬意を表す言葉になったと単純に説明したりするのは適切ではありません。言葉の中心にあるのは、あくまで「そのよう」「そう」という意味です。
左様ならの意味と「さようなら」の由来左様と聞いて、多くの人が思い浮かべるのが別れの挨拶である「さようなら」です。
実は、さようならはもともと独立した別れの言葉ではありませんでした。元になったのは「さようならば」という表現で、「そうであるならば」「それならば」という意味を持つ接続表現です。
国立国語研究所の『日本語基本語辞典』では、「然様ならばこれにて御免」の後の部分を略した言い方として、さようならの語源を説明しています。
また、小学館の『精選版 日本国語大辞典』によれば、「さようならば」の接続詞としての用法は近世中期以降に広まり、別れの挨拶としては、当初「ごきげんよう」「のちほど」などの表現と結びついて使われ、その後、近世後期に独立した挨拶として一般化しました。
つまり、現在の「さようなら」には、「それでは、これで失礼します」という言葉の歴史が残っています。
なお、「左様なら」には文脈によって次の2つの意味があります。
- 条件・接続の意味:そうであるならば、それならば。
- 挨拶の意味:別れるときに使う「さようなら」。
同じ言葉でも、文章の中で条件を示しているのか、別れを告げているのかによって意味が変わります。
【徹底比較】左様と「そうです」「その通り」の違いを一覧で整理
左様と似た言葉には「そうです」「その通りです」「おっしゃる通りです」などがあります。どれも肯定の場面で使えますが、丁寧さや相手への伝わり方には違いがあります。
特にビジネスでは、単に相手の話を受け止めたいのか、内容に同意したいのか、指示を理解して実行する意思を示したいのかによって表現を選ぶ必要があります。
| 表現 | 主な意味 | ニュアンス・丁寧さ | 適した場面 |
|---|---|---|---|
| 左様 | そのよう、その通り | 古風で改まった印象 | 格式のある会話、肯定 |
| そうです | そうである | 一般的な丁寧表現 | 日常会話、事実確認 |
| その通りです | 相手の発言が正しい | 明確な同意 | 意見や説明への賛同 |
| 左様でございます | その通りである | 改まった丁寧表現 | 接客、電話応対、取引先 |
| 左様でございますか | そうなのですね | 丁寧な受け止め | 相手の説明を聞く場面 |
| おっしゃる通りです | 相手の発言に同意する | 相手への敬意を示す | 上司、取引先への賛同 |
| 承知いたしました | 内容を理解し引き受ける | 丁寧で実務的 | 指示、依頼への返答 |
| さようなら | 別れの挨拶 | 一般的な挨拶表現 | 別れ際 |
「左様」と「そうです」は、基本的には同じ方向の意味を持っていますが、使われる場面や印象が異なります。
「そうです」は日常的で自然な表現です。友人との会話から職場でのやり取りまで幅広く使えます。
一方、「左様です」は改まった言い方で、やや古風な印象があります。接客や格式を重んじる会話では使いやすいものの、親しい相手との普段の会話では少し大げさに聞こえることがあります。
例えば、次のような違いです。
日常的な会話:「こちらが担当者ですか」「そうです」
改まった会話:「こちらが担当者でいらっしゃいますか」「はい、左様でございます」
どちらが正しいという問題ではなく、会話の格式に合わせて選ぶことがポイントです。
左様とその通りの違い「その通り」は、相手の発言や説明が正しいことを明確に認める表現です。
一方、「左様」は「そのように」という指示的な意味も持っています。そのため、必ずしも強い賛同を示すとは限りません。
例えば、相手から事情を説明されたときの「左様でございますか」は、相手の話を受け止める返答です。必ずしも、その内容を全面的に肯定したり、賛成したりする意味ではありません。
反対に、相手の意見に明確に賛同したいなら「おっしゃる通りです」「ご指摘の通りです」のほうが伝わりやすい場合があります。
【実践編】左様の正しい使い方と例文・敬語表現
「左様です」は正しい敬語なのか「左様です」は、文法的に成立する丁寧な表現です。「左様」という言葉に「です」を組み合わせることで、丁寧な言い方になります。
さらに改まった表現にするなら、「左様でございます」が適しています。
ここで押さえておきたいのは、「左様」そのものが尊敬語というわけではないことです。丁寧さを担っているのは、主に文末の「です」「ございます」です。
「左様です」と「左様でございます」は、次のように使い分けられます。
- 左様です:丁寧だが、比較的簡潔な返答。
- 左様でございます:より改まった丁寧な返答。
- 左様でございますか:相手の説明を丁寧に受け止める返答。
「左様でございます」は、相手の質問に対して事実を肯定するときに使います。
例文1:事実確認への返答
相手:「こちらが本日の最終版の資料でしょうか」
自分:「はい、左様でございます。こちらが最終版の資料です」
例文2:電話での問い合わせ対応
相手:「御社の営業時間は午後6時までですよね」
自分:「はい、左様でございます。受付は午後6時までとなっております」
例文3:取引先への確認
相手:「今回の打ち合わせはオンラインで実施するという認識でよろしいでしょうか」
自分:「はい、左様でございます。予定どおりオンラインで実施いたします」
このように、相手が述べた事実や認識が正しいときに使用すると自然です。
左様でございますかの例文「左様でございますか」は、相手の話を受け止めるときに使います。「そうなのですね」「そういうことなのですね」に近いニュアンスです。
例文1:問い合わせへの対応
相手:「先日お願いした書類が、まだ届いていないのですが」
自分:「左様でございますか。ご不便をおかけして申し訳ございません。至急、状況を確認いたします」
例文2:相手の事情を聞いたとき
相手:「担当者が急な出張で、本日の会議に参加できなくなりました」
自分:「左様でございますか。それでは、別の日程で調整させていただきます」
例文3:報告を受けたとき
相手:「先方から正式な回答が届きました」
自分:「左様でございますか。内容を確認させていただきます」
ただし、相手の話を受け止めた後は、必要に応じて確認や謝罪、具体的な対応を続けることが大切です。言葉だけで返答を終わらせないようにしましょう。
左様を使ったその他の例文左様には、相手の発言を肯定する以外にも、状況や事情を示す使い方があります。
- 「左様な事情がございましたら、日程を変更いたします」
- 「左様のご認識で相違ございません」
- 「左様、私もその点については同じ考えです」
- 「左様であれば、別の方法を検討いたしましょう」
- 「左様ならば、今回は見送ることにいたします」
なお、「左様のご認識で相違ございません」のような表現は、かなり改まった印象があります。一般的なビジネス会話では「そのご認識で間違いございません」と言い換えても自然です。
【ビジネスで使える?】左様の使用上の注意点と類語・言い換え
左様はビジネスシーンで使える言葉左様は、ビジネスシーンでも使用できます。特に「左様でございます」「左様でございますか」は、顧客対応や電話応対、取引先との改まった会話などに適した表現です。
マイナビニュースや、ビジネスコミュニケーションを解説する「まいにちdoda」でも、左様でございますかを目上の相手や取引先の話を受け止める表現として紹介しています。一方で、堅苦しい印象になる場合があるため、場面に応じた使い分けが必要です。
特に次のような場面では使いやすいでしょう。
- 顧客からの質問に丁寧に回答するとき
- 電話で相手の説明を受け止めるとき
- 取引先からの事実確認に返答するとき
- ホテルや百貨店など、格式のある接客の場面
- 改まった会議や公式なやり取り
1.相手との距離感を考える
左様は改まった印象が強い言葉です。親しい同僚や友人に何度も使うと、わざとらしく感じられる可能性があります。相手との関係性に合わせて「そうですね」「そうです」に切り替えましょう。
2.同じ表現を何度も繰り返さない
会話のたびに「左様でございます」と返すと、機械的で事務的な印象になりかねません。「承知いたしました」「おっしゃる通りです」「ありがとうございます」などを適宜組み合わせると自然です。
3.指示を受けたときは別の表現を選ぶ
相手の説明に同意することと、指示を理解して実行することは別です。例えば、上司から「明日までに資料を提出してください」と言われた場合は、「左様でございます」ではなく「承知いたしました。明日までに提出いたします」と返答するのが適切です。
4.相手の意見に全面的に賛成するかを考える
「左様でございます」は肯定的な表現ですが、相手の発言を受け止めるだけの場合もあります。明確な賛同を伝えるなら「おっしゃる通りでございます」、指摘を認めるなら「ご指摘の通りでございます」のように具体的な言葉を選びましょう。
5.「左様でございますね」の多用を避ける
「左様でございますね」は文脈によって成立する表現ですが、改まった接客や商談では少し不自然に響く場合があります。「左様でございます」「おっしゃる通りです」など、伝えたい意味に合った簡潔な表現を選ぶとよいでしょう。
左様の類語・言い換え表現左様には複数の類語があります。ただし、すべてが同じ意味で使えるわけではありません。
- そう:日常会話で使う基本的な肯定表現。
- そのよう:前に出た内容や状態を指す表現。
- その通り:相手の発言が正しいことを認める表現。
- おっしゃる通り:相手の意見に敬意を込めて同意する表現。
- ご指摘の通り:相手の指摘内容が正しいと認める表現。
- まさしく:内容が完全に一致していることを強調する表現。
- そうでございます:「そうです」を改まった形にした表現。
特にビジネスでは、以下のように使い分けると便利です。
相手の意見に賛同する場合:「おっしゃる通りです」
事実を肯定する場合:「左様でございます」
相手の指摘を認める場合:「ご指摘の通りでございます」
指示や依頼を受けた場合:「承知いたしました」「かしこまりました」
相手の説明を聞いた場合:「左様でございますか」「そうなのですね」
言い換えの要点は、丁寧さだけでなく、返答によって何を伝えたいのかを明確にすることです。
【よくある質問】左様に関する疑問を解決
Q1:左様は「ひだりよう」と読みますか?
A1:いいえ。「左様」は「さよう」と読みます。「左」を「ひだり」と読む熟語ではありません。「然様」という別表記もあります。
Q2:左様ですと左様でございますはどちらが正しいですか?
A2:どちらも使用できます。「左様です」は丁寧な表現で、「左様でございます」はより改まった表現です。顧客や取引先への接客では「左様でございます」が適しています。
Q3:左様と然様には意味の違いがありますか?
A3:基本的に意味や読み方に違いはありません。どちらも「さよう」と読み、「そのよう」「その通り」を意味します。「然様」は意味を理解しやすい漢字表記で、「左様」も一般的に使われる別表記です。
左様とは、「さよう」と読み、「そのよう」「その通り」「そうです」といった意味を持つ、改まった印象の日本語です。「然様」とも書き、漢字の「左」は左右の方向を意味するものではありません。
また、「さようなら」は「さようならば」という接続表現に由来し、「それならば」という意味から別れの挨拶へと変化した言葉です。普段何気なく使っている挨拶にも、左様との歴史的なつながりがあります。
ビジネスでは「左様です」「左様でございます」「左様でございますか」を使い分けることで、相手に丁寧な印象を伝えられます。ただし、相手の意見への賛同、説明への相づち、指示への承諾は、それぞれ意味が異なります。
実践上の判断基準は、次の3つです。
- 事実を丁寧に肯定したいなら「左様でございます」
- 相手の意見に明確に賛同したいなら「おっしゃる通りです」
- 依頼や指示を引き受けるなら「承知いたしました」
左様は、使い方を理解すれば現在でも十分に通用する日本語です。言葉の意味だけでなく、相手との関係や会話の目的まで考えて使い分けることが、自然で信頼感のあるコミュニケーションにつながります。
主な根拠資料:小学館『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』、日本漢字能力検定協会「漢字ペディア」、国立国語研究所『日本語基本語辞典』、国立国会図書館「レファレンス協同データベース」、マイナビニュース、まいにちdoda。
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