2026年10月30日時点で、イラン男子代表を評価するうえで見逃せないのは、国際大会とアジア大会で異なる結果を残したことだ。
VNLでは12試合3勝9敗で14位に終わった。一方、9月のアジア男子選手権では準優勝、10月のアジア大会では優勝を果たしている。
特にアジア大会では、開催国の日本を決勝で3対1で破った。世界ランキングだけでは測れない、イランの勝負強さを示す結果だった。
ロベルト・ピアッツァ監督の就任と目標イラン代表を率いるロベルト・ピアッツァはイタリア出身の指導者だ。
2024年9月にイラン代表の新監督として発表され、前任のブラジル人監督マウリシオ・モッタ・パエスから指揮を引き継いだ。2025年1月にはイランバレーボール連盟との正式契約が報じられている。
ピアッツァ監督は、オランダ男子代表を2019年から指導した経験を持ち、クラブではイタリア、ポーランド、ギリシャなどのチームを率いてきた。
Volleyball Worldの2024年9月のインタビューでは、世界ランキングで常にトップ8に入ることを目標に掲げていた。
世界ランキングで常に上位8チームに入ることが、最初の夢であり願いだ。
この目標を実現するためには、アジアで勝つだけでなく、欧州や南米の強豪との対戦でも安定して結果を残す必要がある。
2026年のVNLで14位という結果は、監督が掲げた目標との距離を示す数字でもある。
ただし、アジア大会での優勝は、短期的な大会でチームの完成度を高める能力を示した成果だ。世界ランキング上位への復帰と、アジアでのタイトル防衛を両立できるかが、ピアッツァ体制の次の課題となる。
【2026年メンバー一覧】注目選手とポジションを徹底整理

2026年のイラン代表には、経験豊富な選手と若い世代が混在している。
ここで注意したいのは、VNLの拡大登録選手、実際の大会登録選手、アジア大会の最終メンバーは同一ではないという点だ。
2026年4月には、イランバレーボール連盟がピアッツァ監督の選考による42人のVNL拡大候補リストを発表した。その後、Volleyball WorldのVNL登録ページには14人の選手とリザーブ2人が掲載されている。
VNL 2026の登録選手Volleyball World掲載の選手をポジション別に整理すると、以下のようになる。
セッター
- イルシャン・ダヴードプール(Ilshan Davoudipour)
- アルシア・ベヘネジャド(Arshia Behnezhad)
オポジット
- アリ・ハジプール(Ali Hajipour)
- モフセン・デラヴァリ(Mohsen Delavari)
アウトサイドヒッター
- モビン・ナスリ(Mobin Nasri)
- ポリヤ・ホセイン・ハンザデ(Poriya Hossein Khanzadeh)
- アリ・ハグパラスト(Ali Haghparast)
- モルテザ・シャリフィ(Morteza Sharifi)
ミドルブロッカー
- ユーセフ・カゼミ(Yousef Kazemi)
- モハンマド・ヴァリザデ(Mohammad Valizadeh)
- セイエド・エイサ・ナセリ(Seyed Eisa Naseri)
- ニマ・バテニ(Nima Bateni)
リベロ
- モハンマドレザ・ハズラトプール(Mohammad Reza Hazratpour)
- ホセイン・ハジカラテ(Hossein Hajiklateh)
リザーブにはマティンとシャヤンも登録されている。
特に注目したい4人の選手1.アミン・エスマイリネジャド
アミン・エスマイリネジャド(Amin Esmaeilnezhad)は、イランのオポジットとして知られる選手だ。
2026年のVNL拡大候補42人にも選ばれ、アジア大会の最終12人にも名を連ねた。
VNLの14人登録とアジア大会の12人登録は異なるため、大会ごとのメンバーを確認することが大切だ。
2.モルテザ・シャリフィ
モルテザ・シャリフィ(Morteza Sharifi)はアウトサイドヒッター。
2026年のVNL登録選手に入り、アジア大会の最終メンバーにも選出された。攻撃と守備の両面でチームを支えるポジションを担う。
3.アミルホセイン・エスファンディアル
アミルホセイン・エスファンディアル(Amirhossein Esfandiar)はアウトサイドヒッター。
2026年4月に発表された42人の拡大候補に含まれている。ただし、VNLの最終14人登録やアジア大会の最終12人とは区別する必要がある。
4.ジャバド・カリミ
ジャバド・カリミ(Javad Karimi)はセッター。
こちらも2026年のVNL拡大候補に選ばれた選手だ。セッターは攻撃の組み立てを担うため、チーム全体の連係を考えるうえで重要な存在となる。
選手と関係者の役割一覧| 人物 | ポジション・役割 | 2026年の位置づけ |
|---|---|---|
| ロベルト・ピアッツァ | ヘッドコーチ | イラン代表の指揮官 |
| アミン・エスマイリネジャド | オポジット | VNL拡大候補・アジア大会代表 |
| モルテザ・シャリフィ | アウトサイドヒッター | VNL登録・アジア大会代表 |
| アミルホセイン・エスファンディアル | アウトサイドヒッター | VNL拡大候補42人 |
| ジャバド・カリミ | セッター | VNL拡大候補42人 |
| ポリヤ・ホセイン・ハンザデ | アウトサイドヒッター | アジア選手権ドリームチーム選出 |
| アリ・ハジプール | オポジット | アジア選手権ドリームチーム選出 |
| セイエド・エイサ・ナセリ | ミドルブロッカー | アジア選手権ドリームチーム選出 |
この一覧から分かるのは、イラン代表が特定のスター選手だけに依存するのではなく、ポジションごとに複数の選手を比較しながら大会メンバーを構成していることだ。
特に42人の拡大候補から最終メンバーを選ぶ仕組みは、選手層の厚みを確保するための重要な取り組みとなっている。
【VNL 2026試合結果】14位に終わった理由と日本戦の内容
2026年のVNLは、イラン代表にとって厳しい大会となった。
Volleyball Worldの最終順位によると、イランは12試合で3勝9敗、勝ち点11を獲得し、18チーム中14位だった。
セット成績は18勝30敗。勝率だけでなく、セットの獲得数でも苦戦が表れている。
イラン代表のVNL 2026全試合結果イラン側から見たセットカウントは次の通り。
| 対戦相手 | 試合日 | 結果 |
|---|---|---|
| ブラジル | 6月10日 | 1-3 |
| ブルガリア | 6月11日 | 0-3 |
| アルゼンチン | 6月12日 | 3-0 |
| ベルギー | 6月14日 | 2-3 |
| フランス | 6月24日 | 2-3 |
| アメリカ | 6月25日 | 0-3 |
| 日本 | 6月26日 | 2-3 |
| キューバ | 6月28日 | 3-1 |
| ウクライナ | 7月15日 | 1-3 |
| ドイツ | 7月16日 | 3-2 |
| スロベニア | 7月17日 | 0-3 |
| トルコ | 7月19日 | 1-3 |
勝利したのはアルゼンチン、キューバ、ドイツの3チーム。
特にドイツ戦ではフルセットの末に勝利し、競り合いを制する力を見せた。一方、ベルギー、フランス、日本にはフルセットで敗れている。
日本戦は2対3で惜敗2026年6月26日の日本戦は、イラン代表の粘り強さと課題の両方が表れた試合だった。
セットスコアは以下の通り。
- 第1セット:19-25
- 第2セット:19-25
- 第3セット:25-20
- 第4セット:25-23
- 第5セット:12-15
イランは最初の2セットを失ったものの、第3セットと第4セットを連取して試合を振り出しに戻した。
最終セットでは日本が15-12で逃げ切り、3対2で勝利した。
この試合から読み取れるのは、イランが不利な状況から試合の流れを変える力を持つ一方、最終セットのような重要局面で勝ち切る力には改善の余地があるということだ。
VNLで苦戦した背景14位という順位を単純に選手個人の能力だけで説明することはできない。
VNLは世界各国の強豪と短期間に連戦する大会であり、選手のコンディション、交代選手の起用、相手の戦術への対応などが結果に影響する。
イランはフルセットに持ち込んだ試合も複数あったが、最終的な勝利数には結びつかなかった。
この勝ち切れない試合を減らすことが、次のVNLで上位を目指すための大きな課題となる。
【日本戦とアジア選手権】2026年の対戦結果を比較
イランと日本は、アジア男子バレーを代表するライバル関係にある。
2026年はVNL、アジア選手権、アジア大会で対戦し、それぞれ異なる結果になった。
2026年の日本対イランの3試合6月26日:VNL
日本が3対2で勝利。イランは2セットを先取された後に追いついたが、最終セットで敗れた。
9月13日:アジア男子選手権
日本が3対0で勝利。セットスコアは25-21、26-24、25-23だった。
イランは準決勝でオーストラリアを3対1で破って決勝に進出したものの、日本の攻撃を止めきれず準優勝となった。
この大会では、アリ・ハジプールが決勝で18得点を記録。ポリヤ・ホセイン・ハンザデも13得点を挙げた。
加えて、ハジプール、ハンザデ、セイエド・エイサ・ナセリの3人が大会のドリームチームに選出された。
10月3日:アジア大会決勝
イランが3対1で勝利。開催国の日本を破り、金メダルを獲得した。
この結果は、9月のアジア選手権決勝での敗北から、わずか20日後の雪辱となった。
アジア男子選手権2026の結果2026年9月に福岡で開催された大会では、日本が優勝、イランが準優勝、韓国が3位となった。
イランはオーストラリアとの準決勝を3対1で制し、決勝に進出。上位3チームに与えられる2027年男子バレーボールワールドカップの出場権も獲得した。
この大会での準優勝は、イランがアジアの上位勢として依然高い競争力を維持していることを示している。
ただし、決勝で日本にストレート負けしたことは、同じアジアの強豪に対する戦術面の課題も浮き彫りにした。
【アジア大会2026】日本を破って4大会連続の金メダル
2026年10月3日、愛知・名古屋で開催された第20回アジア競技大会の男子バレーボール決勝で、イランは日本を3対1で下した。
セットスコアは次の通り。
- 第1セット:28-26
- 第2セット:19-25
- 第3セット:25-21
- 第4セット:26-24
第1セットは接戦を制したイランが先取したものの、日本も第2セットを取り返した。
その後、イランは第3セットで再びリードを奪い、第4セットも接戦の末に26-24で勝利。金メダルを決めた。
FIVBによる大会総括では、イランは今大会を無敗で終え、4大会連続の男子バレーボール金メダルを達成したと報じられている。
アジア大会の勝ち上がりイランの2026年大会の主な結果は以下の通り。
- 予選:キルギスに3-0
- 予選:タイに3-0
- 予選:インドネシアに3-2
- 準々決勝:韓国に3-2
- 準決勝:パキスタンに3-0
- 決勝:日本に3-1
特に注目したいのは、準決勝のパキスタン戦だ。
イランは25-13、25-15、25-11という大差で3セットを連取した。決勝でも接戦を制しており、攻守の安定感が際立った大会だった。
アジア大会の歴代成績イラン男子代表のアジア大会での金メダル獲得は、2014年、2018年、2022年、2026年の4大会連続となる。
なお、2022年大会は新型コロナウイルスの影響で2023年に延期されて開催された大会だ。
過去の成績を整理すると、イランのアジアでの成長が分かる。
- 1958年:銀メダル
- 2002年:銀メダル
- 2010年:銀メダル
- 2014年:金メダル
- 2018年:金メダル
- 2022年大会(2023年開催):金メダル
- 2026年:金メダル
2014年以降は、アジア男子バレーの中心的存在として君臨している。
2026年の優勝によって、単なる一時的な強さではなく、長期間にわたって優勝争いに参加できるチームであることを改めて証明した。
【強さと実力を分析】FIVB世界ランキングと歴代成績
イラン代表の強さを客観的に評価するには、世界ランキングと主要大会の実績を分けて考える必要がある。
アジア大会で優勝したからといって、世界のトップ10に入っているわけではない。
2026年10月のFIVB世界ランキング2026年10月下旬に確認できる男子世界ランキングでは、イランは19位、224.70ポイントとなっている。
比較すると、日本は5位で352.70ポイント。両チームの間には大きなポイント差がある。
ランキング上では、日本が世界トップクラスの位置にいる一方、イランは世界20位前後のグループに位置している。
アジア地域だけで比較すると、イランは日本に続く上位チームの一つだ。
世界ランキングは単純な勝敗数だけではなく、対戦相手の強さや国際大会での結果などを反映するポイント制で算出される。
そのため、アジア大会で優勝した直後でも、ランキングが直ちに大きく上昇するとは限らない。
イラン男子代表の歴代主要成績アジア選手権
イランは2011年、2013年、2019年、2021年に優勝している。
2023年は準優勝、2026年も準優勝だった。
日本との優勝争いは長く続いており、2026年も両国が決勝で顔を合わせた。
世界選手権
イランの世界選手権での最高成績は、2014年大会の6位。
2018年と2022年は13位だった。
アジアでの実績と比較すると、世界選手権ではまだ優勝争いに加わるまでには至っていない。
オリンピック
2016年リオデジャネイロ大会では準々決勝に進出し、最終5位。
2020年東京大会は9位だった。
2024年パリ大会には出場できなかったため、ピアッツァ監督の長期的な目標には、2028年ロサンゼルス大会への復帰も含まれている。
イラン男子代表が強い理由イランの伝統的な強みは、高さを生かしたブロックと前衛の攻撃力にある。
2021年のアジア選手権決勝では、日本との試合でブロック数が9対2、サービスエースが6対2と、イランが上回った。
こうした前衛の圧力は、相手の攻撃選択を制限し、試合の流れを変える要素になる。
また、2026年のアジア大会でも、韓国や日本との接戦を制したことから、重要な場面での対応力も強みとして挙げられる。
一方、世界レベルで戦うためには、次の課題がある。
- VNLのような連戦で安定して勝利を積み重ねること
- フルセットの試合を勝ち切ること
- 強豪国との試合でサーブとレシーブの精度を維持すること
- 若手と経験豊富な選手の連係を強化すること
- 世界ランキング上位国との対戦で継続的に結果を残すこと
アジア大会での成功を世界大会に持ち込めるかどうかが、今後の評価を左右する。
【よくある質問】バレーボールイラン男子代表に関するFAQ
Q1:2026年のイラン男子バレー代表の監督は誰ですか?
A1:イタリア出身のロベルト・ピアッツァ監督です。2024年9月に新監督として発表され、2025年から本格的に指揮を執っています。
Q2:イラン男子バレー代表の2026年VNLの順位は?
A2:12試合3勝9敗、勝ち点11で14位でした。勝利した相手はアルゼンチン、キューバ、ドイツです。
Q3:2026年の日本対イランの試合結果は?
A3:VNLでは日本が3対2、アジア選手権では日本が3対0で勝利しました。一方、10月3日のアジア大会決勝ではイランが3対1で日本を破っています。
Q4:イラン男子代表の2026年の注目選手は誰ですか?
A4:アミン・エスマイリネジャド、モルテザ・シャリフィ、ポリヤ・ホセイン・ハンザデ、アリ・ハジプールなどが注目選手です。アミルホセイン・エスファンディアルやジャバド・カリミも2026年のVNL拡大候補に選ばれています。
Q5:イラン男子代表のFIVB世界ランキングは何位ですか?
A5:2026年10月下旬に確認できるランキングでは19位、224.70ポイントです。
Q6:イランはアジア大会で何回優勝していますか?
A6:2026年大会終了時点で、男子バレーボールでは4大会連続優勝です。2014年、2018年、2022年大会、2026年大会で金メダルを獲得しています。
2026年のイラン男子代表は、国際大会での課題とアジアでの強さを同時に示した。
VNLは14位と厳しい結果だったが、アジア選手権では準優勝、アジア大会では日本を破って4大会連続の金メダルを獲得した。
ロベルト・ピアッツァ監督の目標は、世界ランキング上位8チームへの復帰だ。その実現には、アミン・エスマイリネジャドやモルテザ・シャリフィら既存戦力の活用だけでなく、アミルホセイン・エスファンディアルやジャバド・カリミらを含めた選手層の強化も欠かせない。
【プロの結論】
イラン男子代表を評価するとき、アジア大会の優勝実績だけを見るのも、VNLの14位だけを見るのも適切ではない。
重要なのは、アジアで優勝できる実力を世界大会でも再現できるかという点だ。
特に日本との対戦は、イランの現在地を測る重要な指標となる。2026年は日本に2度敗れた後、アジア大会決勝で勝利を収めた。この結果の変化は、イランが大一番での修正力を持つことを示している。
今後の注目要点は、世界ランキングの上昇、VNLでの勝率改善、若手選手の成長、そして2028年ロサンゼルス五輪への出場権獲得だ。
アジアの王者という地位を守りながら、世界のトップ8へ戻れるか。2026年のイラン代表は、その転換点に立っている。
編集用・主要な根拠資料
- 2026年VNLの公式登録選手と監督:Volleyball World
- VNL最終順位と12試合の成績:Volleyball World
- ピアッツァ監督の経歴と目標:Volleyball World
- 2026年アジア大会の優勝と4連覇:FIVB公式大会総括
- 2026年アジア選手権の決勝と個人賞:Volleyball World
- アジア大会の歴代成績と世界選手権・五輪実績:アジアオリンピック評議会
- 2026年10月の世界ランキング:Volleyball World公式ランキング、ランキング掲載データ
- 2026年10月3日の日本対イラン決勝:日本バレーボール協会