大相撲の取組前、呼出しが色鮮やかな懸賞旗を掲げて土俵を回り、勝負が決まると勝った力士が分厚い懸賞金の束を受け取る。テレビ中継でもおなじみの光景だが、あの懸賞金はいったいいくらなのだろうか。
2026年11月現在、大相撲の懸賞金は1本7万円(税込)で、勝った力士の獲得分は6万円。ただし、6万円すべてが土俵上で現金として渡されるわけではない。2025年5月場所から受け取り方法が変更され、土俵上の現金は1万円、残る5万円は口座への振込・預り金として扱われている。日本相撲協会の公式案内と報道資料を照らし合わせると、懸賞金の仕組みには意外と知られていないポイントがある。
【2026年最新】大相撲の懸賞金はいくら?1本7万円で勝った力士は6万円を獲得

大相撲の懸賞金は、企業や団体などが日本相撲協会を通じて幕内の取組に提供する賞金である。
日本相撲協会の公式サイトによると、懸賞金の基本料金は1本7万円(税込)。このうち1万円が協会の手数料、残る6万円が勝った力士の獲得金額となる。
つまり、懸賞旗が1本掲げられた取組に勝てば6万円、10本なら60万円、50本なら300万円が勝者の獲得分になる。
ここで注意したいのは、企業が支払う7万円と力士が獲得する6万円は別の金額だという点だ。懸賞を出す企業の負担額は1本7万円であり、勝者に渡るのは協会の手数料を差し引いた金額となる。
また、協会が受け取る1万円は、単なる仲介料ではない。公式案内では、取組表への提供者名の掲載料と場内放送料として説明されている。
懸賞金1本・10本・50本ではいくらになる?実際に獲得できる金額を本数別に計算すると、次のようになる。
- 懸賞1本:勝者の獲得分6万円
- 懸賞5本:勝者の獲得分30万円
- 懸賞10本:勝者の獲得分60万円
- 懸賞20本:勝者の獲得分120万円
- 懸賞50本:勝者の獲得分300万円
- 懸賞60本:勝者の獲得分360万円
例えば、横綱同士の注目の一番に50本の懸賞がかかれば、勝った力士の獲得分は300万円。わずか数十秒の取組で、これだけの賞金が動くことになる。
なお、上記は税金などを差し引く前の懸賞金の獲得額であり、最終的な可処分所得とは異なる。
【7万円の内訳】協会手数料1万円と力士の現金1万円・積立金5万円の違い
懸賞金の仕組みで特に誤解されやすいのが、勝った力士が受け取る6万円の内訳だ。
実は、懸賞金の受け取り方法は2025年5月の夏場所から変更されている。それ以前は土俵上で受け取る現金が3万円だったが、現在は1万円に減額された。
変更の背景には、大量の現金を持ち歩くことによる盗難リスクがある。2025年5月9日の報道によると、十両以上の力士で構成される力士会から現金所持への懸念が示され、キャッシュレス化の提案もあった。日本相撲協会は安全面に配慮し、受け取り方法を変更した。
現在の懸賞金7万円の分配構造2026年現在の仕組みを整理すると、次のとおりだ。
- 1万円:日本相撲協会の手数料。取組表掲載料・場内放送料など。
- 1万円:勝った力士が土俵上で現金として受け取る金額。
- 5万円:勝った力士に帰属する口座振込・預り金。
ここでいう5万円は、すべてが納税充当金という意味ではない。従来から設けられていた3万円の納税充当金に、現金支給から振替えられた2万円が加わった構造だ。
2025年5月の報道では、従来の現金3万円のうち2万円を銀行振込に変更し、残る3万円の納税充当金と合わせて5万円が口座に振り込まれる方式になったと説明されている。
納税充当金とは?力士の税金に備える預り金納税充当金とは、懸賞金を獲得した力士の税金に備えて、日本相撲協会が本人名義の預り金として管理するお金のことだ。
日本相撲協会の2023年5月公開の公式クイズでも、当時の仕組みについて、1本7万円のうち1万円が協会の事務経費、3万円が納税充当金、残り3万円が土俵上で受け取る現金と説明されていた。
2025年5月の変更後は、土俵上の現金が1万円となり、口座に振り込まれる金額が合計5万円に増えた。したがって、現在の懸賞金について「現金1万円」「積立・振込5万円」という説明は、受け取り方法を理解するうえで要点となる。
ただし、5万円全額が税金として差し引かれるわけではない。納税充当金と口座振込分を区別して理解する必要がある。
また、懸賞金の獲得額6万円を、そのまま税引き後の手取りと考えるのも正確ではない。実際の税負担は、力士の所得や税務上の状況によって異なる。
【懸賞金の仕組み】勝った力士はいつ受け取る?土俵上の作法と現金の行方
懸賞金がかかった取組では、勝った力士が勝ち名乗りを受ける際に、行司から懸賞金を受け取る。
懸賞旗が土俵上を回るタイミングは、取組前の塵浄水(ちりちょうず)を終えた後。呼出しが懸賞旗を掲げて土俵を一周し、観客にスポンサーを知らせる。
勝った力士が手刀を切る理由勝ち名乗りの後、力士は行司が軍配に乗せて差し出した懸賞袋を受け取る。このとき、力士が手刀を切る所作も大相撲ならではの伝統だ。
懸賞金は単に勝者へ渡される賞金ではなく、勝ち名乗りという儀式の流れの中で授与される。懸賞旗の掲出から手刀を切る動作までが一連の見どころになっている。
懸賞金は負けた力士にも渡される?答えはノーだ。懸賞金を獲得できるのは、その取組に勝った力士だけである。
日本相撲協会の公式クイズでは、不戦勝の場合には懸賞が取り下げられると説明されている。つまり、対戦相手の休場などによって実際の取組が成立しなければ、懸賞金は通常の勝者に支払われる形にはならない。
また、懸賞が多くかかっている取組でも、勝者が獲得する本数は、その取組に実際にかけられた懸賞の数によって決まる。
大の里のような人気力士が大量の懸賞を獲得するのも、注目度の高い取組で勝ち続けることが前提になっている。
【企業スポンサーの仕組み】懸賞金の申し込み条件と懸賞旗の役割
懸賞金は、企業や団体が日本相撲協会に申し込むことで提供できる。応援したい力士の取組や、注目を集める好取組を指定することが可能だ。
日本相撲協会の公式案内では、懸賞をかけられるのは幕内の取組のみとされている。
企業が懸賞を申し込むための条件基本的な申し込み条件は次のとおりだ。
- 懸賞をかけられるのは幕内の取組。
- 1日1本以上の申し込みが必要。
- 1場所15本以上の申し込みが必要。
- 追加申し込みは1本単位で受け付ける。
- 提供者名は活字15文字以内。
- 懸賞旗はスポンサー側が制作して持ち込む。
1場所は15日間のため、最低本数の15本を申し込むと、必要な費用は次の計算になる。
7万円×15本=105万円(税込)
つまり、企業が1場所を通じて懸賞を出す場合、最低でも105万円の費用が必要となる。懸賞を追加すれば、その分だけ費用も増える。
懸賞旗の大きさと企業名の宣伝効果日本相撲協会の公式サイトによると、懸賞旗の標準寸法は横70cm×縦120cm。旗は懸賞主が制作して持ち込む方式で、土俵上に掲げるためデザインには一定の制限がある。
懸賞を提供すると、企業名などを織り込んだ提供者名が、その日の入場者全員に配布される取組表に印刷される。さらに取組直前には場内放送で読み上げられ、懸賞旗も土俵を回る。
つまり、企業にとって懸賞は、単に力士を応援するための協賛金ではない。会場内での視覚的な露出、場内アナウンス、取組表への掲載を組み合わせた広告・協賛の仕組みでもある。
懸賞を提供する企業と関係者の役割懸賞金は、スポンサーから協会、そして勝者へと流れる。関係者ごとの役割を整理すると、仕組みが分かりやすい。
| 関係者・項目 | 役割・金額 | 仕組み上の位置づけ |
|---|---|---|
| 企業・団体 | 1本7万円を提供 | 応援する力士や希望する幕内取組を指定 |
| 日本相撲協会 | 1本につき1万円 | 取組表掲載料・場内放送料などを受け取る |
| 懸賞旗・呼出し | 横70cm×縦120cm | 取組前にスポンサーの旗を土俵上で掲出 |
| 場内アナウンス・取組表 | 提供者名を告知 | 企業・団体の名称を観客に知らせる |
| 行司 | 勝ち名乗りの際に懸賞金を授与 | 勝者に懸賞袋を渡す |
| 勝った力士 | 1本につき6万円 | 現金1万円と口座振込・預り金5万円 |
このように、懸賞旗は単なる装飾ではなく、企業と大相撲をつなぐ広告媒体として機能している。
【2026年最新ランキング】懸賞金の歴代最多本数は?大の里が698本を獲得
2026年の大相撲では、懸賞金の申し込みと実際の掲出本数が大きく伸びている。
2026年11月2日時点で最新の終了場所となる9月場所では、実際に掲出された懸賞が3,688本に達し、過去最多を更新した。これは2026年5月場所の3,563本を125本上回る数字だ。
なお、申し込み本数と実際の掲出本数は同じではない。9月場所は事前申し込みが3,895本だったのに対し、実際に掲出されたのは3,688本。休場などによる取りやめがあるため、両者を区別する必要がある。
2026年の懸賞本数の推移2026年の主な場所を比較すると、懸賞への企業の関心が高まっていることが分かる。
- 2026年1月場所:申し込み3,469本。
- 2026年5月場所:申し込み4,241本、実際の掲出3,563本。
- 2026年7月場所:申し込み3,504本。地方場所の申し込み最多記録を更新。
- 2026年9月場所:申し込み3,895本、実際の掲出3,688本。実績ベースの過去最多を更新。
2026年9月場所は141社から懸賞の申し込みがあり、横綱・大の里への申し込みは399本で力士別トップだった。関脇・熱海富士も213本を集め、地元熱海にゆかりのある企業からの支援が目立った。
こうした動きは、懸賞が横綱や大関だけのものではなく、地域に根差した企業が応援したい力士を支援する仕組みとしても広がっていることを示している。
1場所の個人最多懸賞本数は698本2026年9月場所では、横綱・大の里が15日間で698本の懸賞を獲得した。
1本につき勝ち力士の獲得分は6万円なので、計算すると次のとおりだ。
698本×6万円=4,188万円
1場所で4,188万円という、非常に大きな懸賞金の獲得額となった。これは税金などを差し引く前の懸賞金獲得分であり、最終的な税引き後の所得ではない。
それまで1場所の個人最多懸賞本数として知られていた記録は、2015年1月場所に横綱・白鵬が獲得した545本だった。大の里は2026年9月場所に698本を獲得し、この記録を大幅に更新した。
なお、2015年当時は懸賞1本の金額が現在とは異なっていた。歴代記録を比較するときは、獲得本数と獲得金額を分けて見る必要がある。
2026年の記録更新は、懸賞の人気が特定の力士だけでなく、大相撲全体への企業の関心の高まりとも結びついていることを物語っている。
【よくある質問】大相撲の懸賞金に関するFAQ
Q1:大相撲の懸賞金は1本いくらですか?
A1:2026年現在、1本7万円(税込)です。日本相撲協会の手数料が1万円、勝った力士の獲得分が6万円となっています。
Q2:懸賞金6万円はすべて現金でもらえるのですか?
A2:いいえ。2025年5月場所から受け取り方法が変更され、土俵上で受け取る現金は1万円です。残る5万円は口座振込・預り金として扱われます。そのうち従来からの3万円が納税充当金で、2万円が現金支給から振り替えられた分です。
Q3:企業が懸賞金を出すにはいくら必要ですか?
A3:1本7万円です。日本相撲協会の条件では1日1本以上、1場所15本以上の申し込みが必要なので、15日間の最低申込額は105万円(税込)です。追加は1本から申し込めます。
2026年現在、大相撲の懸賞金は1本7万円(税込)。日本相撲協会の手数料1万円を差し引いた6万円が、勝った力士の獲得分となる。
ただし、実際の受け取り方は2025年5月場所から変わっている。土俵上で受け取る現金は1万円で、残る5万円は口座振込・預り金として扱われる。加えて、その5万円のすべてが納税充当金ではなく、従来の納税充当金3万円と振込に変更された2万円を分けて理解することが大切だ。
企業側にとっては、1本7万円の懸賞を通じて、懸賞旗、場内放送、取組表掲載という複数の広告機会を得られる。最低15本、105万円から申し込める仕組みも、大相撲の懸賞を支える重要な要素になっている。
そして2026年9月場所では、実際の懸賞掲出が3,688本、大の里の個人獲得本数が698本と、いずれも大きな記録を更新した。
懸賞金を見るときに押さえたい判断基準は、次の3つだ。
- 金額を知りたい場合:企業負担の7万円と勝者の獲得分6万円を区別する。
- 力士の収入を知りたい場合:土俵上の現金1万円と口座振込・預り金5万円を区別し、税引き後の所得と混同しない。
- 歴代記録を比較する場合:申し込み本数、実際の掲出本数、個人の獲得本数を分けて確認する。
土俵上を回る懸賞旗の1本1本には、スポンサー企業の応援と広告活動、そして勝負に挑む力士への期待が込められている。懸賞金の内訳を知れば、勝ち名乗りの瞬間に力士が抱える懸賞袋の重みも、これまでとは違って見えてくるはずだ。
編集上の重要な補足: 日本相撲協会の公式ページは、1本7万円・勝者6万円・手数料1万円という総額の内訳を掲載しています。一方、2025年以降の現金1万円・口座振込等5万円という受け取り方法は、2025年5月の変更報道と2026年の報道を併せて反映しています。公式ページの古い受け取り説明と混同しないことが、この記事の正確性を保つポイントです。