「東急ハンズ」の看板に描かれていた、両側に手のイラストが付いた緑色のロゴ。長年親しまれてきたこのデザインは、2022年10月のブランド刷新によって姿を変えました。現在の社名は「株式会社ハンズ」、店舗ブランドも「ハンズ」となり、新しいロゴには漢字の「手」をモチーフにした独創的なデザインが採用されています。
ロゴを手がけたのは、デザインオフィスnendoの代表・佐藤オオキ氏です。従来のハンズグリーンを残しながら、一筆書きで表現された新しい「手」には、創業時からの理念を未来へつなぐ意味が込められています。さらに2026年8月には創業50周年を迎え、旧ロゴと新ロゴの歴史を融合させた記念ロゴも登場しました。
【現在のロゴはこれ!】東急ハンズの旧ロゴと2022年の新ロゴを比較

まず押さえておきたいのは、2026年現在、企業・店舗ブランドとして使用されている名称は「ハンズ」であり、2022年に発表された新しいロゴが現在のコーポレートロゴだということです。
かつての「東急ハンズ」を象徴していたロゴは、緑色の文字と、その左右に配置された手のイラストが特徴でした。一方、新ロゴでは手のイラストをそのまま描くのではなく、漢字の「手」を抽象的な一本の線で表現しています。
旧ロゴの特徴:左右に手を配置した印象的なデザイン東急ハンズの旧ロゴは、1976年の創業時から使われてきたデザインです。中央に「TOKYU HANDS」の文字を配置し、その両側に手のイラストを組み合わせた構成が特徴でした。
特徴的なのは、文字と手のイラストが一体となってブランドの名前とコンセプトを伝えていたことです。遠くから見ても識別しやすく、店舗の看板や紙袋などを通じて、多くの人に親しまれてきました。
また、2009年には「ヒント・マーケット」というコンセプトの導入に合わせ、片手と「TOKYU HANDS」を組み合わせたロゴも店舗のストアアイコンとして使用されました。企業を表す両手のロゴと、個々の店舗を表す片手のロゴという使い分けがあったのです。
新ロゴの特徴:漢字の「手」を一本の線で表現2022年10月に発表された新ロゴは、従来の手のイラストとは大きく異なります。
漢字の「手」をモチーフにした一本の線が、途切れることなくつながるデザインです。ロゴの文字表記も「TOKYU HANDS」から「HANDS」へと変わりました。
旧ロゴが具体的な手のイラストによって親しみやすさを表現していたのに対し、新ロゴは抽象的な造形によって、創造性や未来への発展を感じさせるデザインになっています。
ただし、単純に過去を否定したわけではありません。ブランドの原点である「手」と緑色を残しながら、表現方法を現代的に更新した点が大きな特徴です。
【歴代ロゴの変遷】1976年から2026年までのデザインと変更経緯
東急ハンズのロゴは、創業以来ずっと同じデザインだったように見えますが、実際にはブランドの方向性に合わせた展開がありました。
特に重要なのは、1976年の創業時、2009年の「ヒント・マーケット」への転換、2022年の社名変更、そして2026年の創業50周年という4つの節目です。
1975年:創業前の「SUPER HAND」構想現在の東急ハンズの歴史をたどると、創業前の1975年には「SUPER HAND」という事業構想が存在しました。当時は左右に四角い手を配置した別のシンボルマークも提案されていたと、2013年のマイナビニュースによる当時の広報担当者への取材で紹介されています。
その後、事業名称が「CREATIVE LIFE STORE TOKYU HANDS」として認められ、1976年2月にシンボルマークが再検討されました。ここで、後に長く親しまれる両手のロゴが形づくられています。
1976年:東急ハンズの創業と旧ロゴの誕生1976年8月、株式会社東急ハンズが設立されました。同年11月には神奈川県藤沢市に実験店として第1号店がオープンしています。
創業時に掲げられたテーマは「手の復権」です。大量生産・大量消費が主流だった時代に、手を使って自ら新しい生活をつくり出すという考え方が事業の出発点になりました。
旧ロゴに両手が描かれていたのも、この理念と深く関係しています。
2009年:「ヒント・マーケット」の導入2009年には「ここは、ヒント・マーケット」というブランドコンセプトが打ち出されました。
単に商品を販売するのではなく、商品を通じて新しい発見や暮らしのアイデアを提供するという方向性です。この時期には片手とTOKYU HANDSを組み合わせたストアアイコンも使用されるようになりました。
2022年:社名変更と新ロゴへの刷新2022年3月31日、東急不動産ホールディングスが保有していた東急ハンズの全株式について、カインズによる取得手続きが完了しました。
その後、10月1日に会社名を「株式会社ハンズ」へ変更。10月26日には佐藤オオキ氏がデザインした新しいコーポレートロゴが発表されました。
2026年:創業50周年記念ロゴの登場2026年8月、ハンズは創業50周年を迎えました。1月21日に発表された周年記念ロゴは、これまでの歴史とこれからの未来を表現した特別なデザインです。
現在のロゴをベースに、旧ロゴを思わせる手のモチーフと数字の「50th」を組み合わせ、ブランドの歩みを象徴しています。
| 時期 | ロゴ・ブランドの変化 | 主な意味・背景 |
|---|---|---|
| 1975年 | SUPER HAND構想 | 創業前の事業・ロゴデザイン案 |
| 1976年 | TOKYU HANDS・両手の旧ロゴ | 「手の復権」を象徴 |
| 2009年 | 片手のストアアイコン | ヒント・マーケットへの転換 |
| 2022年3月 | カインズグループ入り | 経営体制の転換 |
| 2022年10月1日 | 株式会社ハンズへ社名変更 | 東急の名称から独立したブランドへ |
| 2022年10月26日 | 漢字の「手」を使った新ロゴ | 佐藤オオキ・nendoによる刷新 |
| 2024年3月末 | 東急・TOKYU等の標章の使用終了予定期限 | 新ブランドへの移行計画 |
| 2026年1月21日 | 創業50周年記念ロゴ発表 | 新旧の歴史と未来をつなぐ |
| 2026年8月 | 創業50周年 | 周年企画・記念商品の展開 |
この年表から分かるのは、2022年の変更が単なるロゴのデザイン変更ではなかったということです。経営体制、会社名、店舗ブランド、企業イメージを一体的に見直す大きな転換でした。
【デザインの意味を解説】佐藤オオキ・nendoが込めた「手」の思想
新ロゴのデザインを担当したのは、デザインオフィスnendoの代表である佐藤オオキ氏です。東京2020オリンピック・パラリンピックの聖火台デザインなども手がけたデザイナーとして知られています。
今回のロゴでは、ハンズの創業理念を表す「手」を、あえて漢字という日本独自の文字文化を使って表現しました。
なぜ漢字の「手」を使ったのか新ロゴの大きな特徴は、手を直接描くのではなく、漢字の「手」を抽象化していることです。
漢字を使うことで、日本発祥のブランドであることを海外にも伝えられるという狙いがあります。単に英語のHANDSを視覚化するだけでなく、日本語の文字そのものをブランドの象徴として採用したのです。
ハンズの公式発表で紹介された佐藤氏のコメントにも、その考え方が表れています。
「新たなロゴは原点である『手』がモチーフとなっています。」
加えて、線の端部をつなぎ合わせ、途切れない一筆書きにすることで、過去から未来へと続くブランドの姿勢を表現しています。
一筆書きには「つながり」と「躍動感」があるnendoの公式制作紹介によると、新しいロゴは過去から未来へと続く思いを一本の細い線にたとえ、途切れない一筆書きとしてデザインされています。
また、従来のロゴが「手羽」として親しまれていたことにも配慮し、旧ロゴの面影を残すことが意識されました。
興味深いのは、人がワクワクしながら舞っているような姿も想起させるというデザイン上の発想です。
つまり、新ロゴは単なる漢字の図案化ではありません。「手を使って何かをつくる」という創業時の精神に加え、創造する楽しさや人の動きまで表現したブランドシンボルなのです。
ハンズグリーンを変えなかった理由新ロゴで最も分かりやすく受け継がれている要素が、従来のハンズグリーンです。
会社名やロゴの形が変わっても、ブランドカラーは従来の深みのある緑色を踏襲しています。
この選択には、長年ハンズを利用してきた人々にとっての視覚的な連続性を守る意味があります。緑色は、店舗の看板や商品袋、広告などを通じて蓄積されてきたブランド認知の重要な要素です。
すべてを新しくするのではなく、残すべきものを残す。新ロゴのデザインは、ブランド刷新における継承と変革のバランスを示しています。
【なぜ東急ハンズからハンズへ?】社名変更とカインズ子会社化の経緯
東急ハンズのロゴ変更を理解するには、2022年の経営体制の変化を知る必要があります。
今回の変更は、デザイン部門だけで決まったものではありません。親会社の変更と、それに伴うブランドの再構築が大きく関係しています。
2022年3月31日にカインズの子会社へ2022年3月31日、株式会社カインズによる東急ハンズの全株式取得が完了しました。これにより、東急ハンズは東急不動産ホールディングスとの資本関係を解消し、ベイシアグループの主要事業会社であるカインズの子会社となりました。
カインズはホームセンター事業を展開する企業です。一方、東急ハンズはDIY用品だけでなく、生活雑貨、文具、手芸用品、キッチン用品など幅広い商品を扱ってきました。
両社の組み合わせには、DIYや住生活関連商品の分野で、それぞれの事業基盤やノウハウを生かすという方向性があります。
10月1日に株式会社ハンズへ社名変更株式取得から約半年後の2022年10月1日、会社の商号は「株式会社東急ハンズ」から「株式会社ハンズ」に変更されました。
店舗ブランドも「東急ハンズ」から「ハンズ」へと変更され、新生ハンズとしての事業展開が始まります。
そして10月26日、新しいロゴが発表されました。会社名変更とロゴ発表が同じ年に行われたことで、ブランド全体の切り替えが明確になりました。
「東急」「TOKYU」の商標はどうなった?2022年10月の公式発表では、「東急」「TOKYU」などを含む商標その他の標章について、2024年3月末までにすべての使用を終了する予定とされていました。
ここで注意したいのは、これはハンズが使用する標章についての方針であり、東急という商標そのものが世の中から消滅したという意味ではないことです。
2026年現在のハンズのブランドロゴには「TOKYU」の表記はなく、東急ハンズ時代とは異なる企業ブランドとして展開されています。
ロゴ変更は経営上の独立を視覚化したものなぜ「東急」の文字を残さず、「ハンズ」だけにしたのでしょうか。
その背景には、企業の所属グループが変わったことと、長年親しまれてきた「ハンズ」という呼び名自体にブランド価値が蓄積されていたことがあります。
公式発表でも、新しいハンズとしての一歩を踏み出すこと、創業テーマを大切にしながら未来へ進むことがロゴ刷新の背景として説明されています。
つまり、東急という名称を外すことは、単なる文字数の削減ではありません。新しい経営基盤のもとで、ハンズというブランド自身のアイデンティティーを確立するための転換だったのです。
【2026年最新】創業50周年記念ロゴのデザインと旧ロゴ復活の意味
2026年の東急ハンズロゴを語るうえで欠かせないのが、創業50周年記念ロゴです。
株式会社ハンズは2026年8月に創業50周年を迎えることを記念し、同年1月21日に周年ロゴを発表しました。
50周年記念ロゴは「5」と手の組み合わせ周年記念ロゴは、現在のハンズのブランドイメージと50周年を表す「50th」を組み合わせたデザインです。
特徴的なのは、手が数字の「5」に置かれているようにも、数字の「5」を持ち上げているようにも見える造形です。
公式発表では、手が数字の5に置かれている姿を「これまでのハンズ」の歴史、5を持ち上げる姿を「これからのハンズ」の未来として表現したと説明されています。
つまり、50周年記念ロゴは、単に創業年数を祝うための数字のデザインではありません。50年間の歩みと、その先の未来を同時に表現したシンボルです。
従業員の投票で選ばれた記念ロゴこの記念ロゴには、制作過程にも特徴があります。
複数の候補案から従業員による投票を実施し、最も投票数が多かったデザインが採用されました。
長年ブランドを支えてきた従業員が選んだという点は、周年ロゴが企業内部にとっても意味のあるシンボルであることを示しています。
50周年で旧ロゴが再び注目される理由2026年の50周年企画では、旧東急ハンズのロゴを使用した記念商品も展開されています。
2026年8月の50周年創業祭では、新旧ロゴを両面にあしらった限定トートバッグや、旧ロゴを含む歴代デザインを再現したカプセルトイなどが登場しました。
これは、旧ロゴが正式なコーポレートロゴに戻ったという意味ではありません。周年企画の一環として、過去のブランド資産を記念商品に活用したものです。
2026年10月時点でも、50周年関連の商品展開を通じて、旧ロゴと新ロゴを一緒に楽しめる機会が設けられています。
長くハンズを利用してきた人にとっては、昔の紙袋や店舗看板を思い出すきっかけにもなります。新しい世代にとっては、現在のブランドがどのような歴史を経てきたのかを知る機会になるでしょう。
【プロの結論】東急ハンズの旧ロゴと新ロゴを見分けるポイント
旧ロゴと新ロゴを見分ける際には、色よりも文字と手の形に注目すると分かりやすくなります。
旧ロゴと新ロゴの簡単な見分け方旧ロゴの特徴は、TOKYU HANDSという文字と、左右に配置された手のイラストです。店舗のストアアイコンとしては片手のバリエーションもあります。
新ロゴの特徴は、HANDSという文字と、漢字の「手」を抽象化した一筆書きのシンボルです。旧ロゴのような左右の手のイラストは使用していません。
50周年記念ロゴの特徴は、50thという数字と、手を連想させる造形を組み合わせていることです。現在のコーポレートロゴと周年限定のマークを混同しないことが大切です。
ロゴを見るときに間違えやすい3つのポイント1. 旧ロゴの片手版も存在する
旧ロゴは両手のデザインだけではありません。2009年以降、店舗を表すストアアイコンとして片手のロゴも使われていました。そのため、片手だからといって2022年以降の新ロゴと判断するのは間違いです。
2. 緑色が同じでもロゴは異なる
ハンズグリーンは新旧のロゴに共通する要素です。色だけでは年代を判断できません。TOKYU HANDSの文字があるか、HANDSの表記と一筆書きの手が使われているかを確認しましょう。
3. 50周年ロゴは通常の新ロゴとは別物
50周年記念ロゴは、2026年の周年企画を象徴するデザインです。企業の通常のコーポレートロゴが50周年版に置き換わったわけではありません。
ロゴ変更から見えるハンズのブランド戦略今回のロゴ刷新で注目すべきなのは、ハンズが過去のブランド資産を捨てずに、新しい表現へ置き換えたことです。
旧ロゴの両手は、手作りや生活文化の創造という創業時の理念を視覚化していました。新ロゴは、その理念を漢字の「手」という日本発のシンボルに再構築しています。
加えて、ハンズグリーンを残すことで、長年の顧客が新しいブランドを認識しやすい状態を維持しています。
これは企業のリブランディングにおける重要な考え方です。過去とのつながりを完全に断ち切るのではなく、ブランドの核となる価値を残しながら、経営環境や顧客層の変化に合わせて見せ方を更新する。その好例が2022年のハンズのロゴ変更だと考えられます。
旧ロゴを懐かしむ人も、新ロゴのシンプルなデザインを評価する人も、両方のデザインを理解することで、ハンズというブランドの50年の歩みをより深く捉えられます。
【東急ハンズのロゴに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:東急ハンズのロゴは現在どうなっていますか?
A1:2026年現在は、2022年10月26日に発表された新しいコーポレートロゴが使用されています。漢字の「手」をモチーフにした一筆書きのデザインで、ブランド名は「ハンズ」です。
Q2:東急ハンズのロゴが変更されたのはなぜですか?
A2:2022年3月にカインズの子会社となり、同年10月に社名を株式会社ハンズへ変更したことに伴うブランド刷新です。新しい経営体制のもとで、ハンズ独自のブランドを確立する目的がありました。
Q3:新しいハンズのロゴをデザインしたのは誰ですか?
A3:デザインオフィスnendoの代表・佐藤オオキ氏です。漢字の「手」を一筆書きで表現し、過去から未来へつながるブランドの思いをデザインに込めています。
Q4:新しいロゴになっても緑色が変わらないのはなぜですか?
A4:従来のハンズグリーンを継承することで、創業以来のブランドイメージを守るためです。新しいデザインと昔からの視覚的なつながりを両立させています。
Q5:2026年の50周年記念ロゴは通常のロゴと違いますか?
A5:違います。50周年記念ロゴは、現在のブランドイメージに50thの数字と手のモチーフを組み合わせた周年限定のデザインです。通常のコーポレートロゴに代わるものではありません。
Q6:東急ハンズの旧ロゴはもう使われていないのですか?
A6:通常のコーポレートロゴとしては新ロゴに切り替わっています。ただし、2026年の創業50周年企画では旧ロゴを取り入れた限定商品などが展開されており、記念用途で再び目にする機会があります。
Q7:東急ハンズとカインズは現在どのような関係ですか?
A7:株式会社ハンズはカインズの子会社です。カインズを中心とするベイシアグループに属し、グループの強みを生かした事業展開を進めています。
東急ハンズのロゴは、1976年の創業時に誕生した両手のデザインから、2022年の漢字「手」を使った一筆書きの新ロゴへと進化しました。
その背景には、カインズによる株式取得、東急グループからの独立、株式会社ハンズへの社名変更という大きな経営上の転換があります。
デザインを担当した佐藤オオキ氏とnendoは、創業以来の「手の復権」という理念を現代的に表現しました。ハンズグリーンを残したことも、ブランドの歴史を大切にする姿勢の表れです。
そして2026年8月の創業50周年では、手が数字の5を支えるようにも持ち上げるようにも見える記念ロゴが登場しました。旧ロゴと新ロゴの歴史をつなぐ周年企画は、ブランドが過去を大切にしながら次の時代へ進んでいることを象徴しています。
東急ハンズのロゴを見分けるなら、旧ロゴのTOKYU HANDSと両側の手、新ロゴの漢字「手」を使った一筆書き、そして50周年限定の50thという3つのポイントを覚えておくと便利です。
ロゴは単なる企業のマークではありません。そこには創業時の理念、経営の転換、デザインの思想、そして顧客との長い関係が刻まれています。ハンズの50年の歩みは、まさにそのことを示しています。
主な事実確認資料